背骨は、脊柱動物として身体を支える屋台骨であり、24個の骨(仙骨・尾骨を含めず)でできています。
頭部・上背部・腰部と3パートに分けることができ、それぞれ「頚椎(けいつい)・胸椎(きょうつい)・腰椎(ようつい)」と呼ばれています。
頚椎から腰椎になるにしたがって(立った時に上から下に行くにしたがって)、骨はだんだんと大きくなります。
考えてみれば当たり前ですが、首周りよりも腰周りの方が重い重量に耐えられるようになっている訳です。
背骨は、身体で一番重い頭部を柔軟に支えるためにカーブしています。「背骨の生理的湾曲・Sカーブ」などと言われています。
下の図を参照して下さい↓
頭部(頚椎:Vertebrae Cervicales) は、7個あります。(C1〜C7)
首根っこの背骨に、ポッコリ膨らんでいる骨があるはずです。触ってみましょう(笑)
それを特に「隆椎(りゅうつい)」と呼び、頚椎の7番目(C7)の骨です。そこから上に7個、頚椎がある訳です。
ちなみに、第1頚椎(C1、環椎)と第2頚椎(C2、軸椎)は、あらゆる方向に動く構造をしています。それにより、
首を前・後ろに傾けること(頚椎の屈曲・伸展)ができたり、横にかしげること(側屈)や、右・左に回すこと(回旋)ができるわけです。
(首が動く時は、頭蓋骨と第1頚椎との間の関節と、頚椎間の関節のコンビネーションが働きます)
【ピラティスでは】
首をヒネる場合には、頚椎7個をどれもまんべんなくヒネるように心掛けましょう。
▼クリスクロス:ただ横を向くのではなく、肘を横に広げて、後ろの肘を見るようにしましょう。
▼ソー:後ろの手をひっくり返してそれを見る時に、体のヒネリの延長で首もヒネる訳です。
『頚椎の前湾』
さて頚椎は、立った時には前側に少し膨らんでいます。
したがって、身長を高く見せる写真を撮る時なんかはアゴを引いて頚椎を伸ばしたりしますし、
美容院での洗髪は仰向けでアゴを上げた状態(頚椎の伸展)になりますが、血流的には決してあまり良くない(湾曲が強すぎる)
などと言われています。
高齢者は、アゴを上げて首を後ろに傾けた状態は、脳血栓ができる状態になるとの指摘もあるくらいです。
なお現在、首をストレッチをする際、首を後ろに傾ける(もしくは回転させる)のはNGで、
伸ばすのであれば、アゴを引いて頚椎を引き伸ばし、
回転させるのであれば、「まず正面を向いて、慌てず横を向いて、首を回して下を通って正面に戻る。そして、その逆」のが標準
とされています。
高齢者や血圧が高めの方は、まず肩を上下そして回転させたりして動かしておいてから
(肩周りの三角筋の他、胸鎖乳突筋・板状筋群・菱形筋群などをほぐしておいてから)、その後に首を動かすようにしましょう。
【ピラティスでは】
効果的にヒネるためにも、首に負担を掛けないためにも、アゴを引いた姿勢を維持します。
▼スワンTネックロール:アゴを引いたまま頭を持ち上げ(完全に正面を見ない)、横を向いて下を通って正面に戻します。
▼スイミング:伸ばした指先を見るように首も伸ばしヒネるのですが、アゴを上げて完全に指先を見ると頚椎が伸びません。
上背部(胸椎:Vertebrae Thoracicae) は、12個あります。(T1〜T12)
さきほどの「隆椎」(首の後ろの出っ張った骨)の下にある骨から12個分、横っ腹部分まで連続しています。
胸郭は、胸椎12個、肋骨24個(12対で左右計24本)、胸骨から成り立っています。
12対の肋骨は、12個の胸椎の横突起に接しています。
第1〜7胸椎は個々に胸骨につながり、第8〜10胸椎は一緒になって胸骨とつながっています。
第11〜12胸椎(およびそこから伸びた肋骨)はどこにも接せずに浮いています(浮遊肋骨)。
【ピラティスでは】
体を丸めたり・ヒネったりする場合には、胸椎12個をどれもまんべんなく動かすように心掛けましょう。
■ロールアップ:真珠のネックレス一玉一玉を順番にマットから離して行く〜マットに置いていく(アーティキュレート)、
ように背中をまんべんなく丸めます。
(腹筋をコントロールして背骨一つ一つ順番に。腹直筋・腹横筋にとってはエキセントリックコンストラクション)
▼クリスクロス:単に首を回すだけではなく、肋骨(あばら骨)を膝に近づけていくように背中全体をヒネります。
▼スパインストレッチフォワード:背中に透明の壁があると思って、ロールアップ同様に背骨を一つ一つ動かすことで前屈します。
『胸椎の後湾』
胸椎は後ろ側にカーブしている(胸椎の後湾)ため、もともと猫背的なカーブはあるのですが、
「猫背=姿勢が悪い」として問題視されるのは、程度を超えた猫背(後湾)と並んで、
左右の肩が前に出てしまうことによる胸郭(あばら骨で囲われた胸の部分)の圧迫が大きいようです。
(胸郭が圧迫されて充分な呼吸が出来ければ、細胞に充分な酸素が届かない)
水平方向での「猫背」は、(一般的に)女性やデスクワーカーに多い姿勢であるようで、
それにより体の重心が前方に掛かることで、腰椎が直線的になってしまって(特に「腰椎の後湾」と言ったりする)
腰の筋肉で無理に支えて慢性腰痛になったり、太ももが太くなったり、太ももの裏がつっぱったりする症例も多いようです。
また、「いつも同じ手でつり革をつかまる」「足を組むことが多くいつも同じ脚」などの日常生活によって、
脊椎や骨盤が横に曲がってしまう(肩の高さが右と左で違う:「側湾」といいます)場合もあるようです。
したがって、「左肩が上がっていて+前方に出ている、右肩が下がっていて+後方にやや引けている
→体の重心が左足前方に傾いている、眼をつぶって数十歩その場もも上げをすると左前に移動している」
という例も少なくありません。
【ピラティスでは】
両方の肩は左右に広げて(=胸郭を広げて)行いましょう。
▼スパインストレッチフォワード:手を前に伸ばして前屈しますが、肩は上げずに(インザジョイントで)行います。
(背骨〜肋骨〜肩甲骨〜上腕骨のクリティカルコネクションへ、パワーハウスから結びつける)
腰部(腰椎:Vertebrae Lumbar) は、5個あります。(L1〜L5)
腰骨の高さ(腸骨線上)の背骨が、腰椎の3番と4番の間です。
「腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)」は、一般的に30歳〜50歳代の男性に多く、
第4腰椎と第5腰椎の間、また第5腰椎と仙椎の間に多く生じます。
背骨と背骨の間には、なめらかな動きを進めたり、加重・ショックを分散させるために「椎間板(ついかんばん)」があります。
中心部にはゼラチン質ゼリー状の「髄核(ずいかく)」があり、それが背中側に突出して神経を圧迫してしまうのがヘルニアです。
症状としては激しい腰痛を伴い、
お尻から太もも裏側に向かって生じる痛み(すなわち坐骨神経痛)や、脚に局所的な感覚障害・運動障害を生じることもあります。
ヘルニアが進行すると、排尿排便の障害や、脚部全体の運動感覚障害に達する場合があります。
【ピラティスでは】
腰部を丸めたり・ヒネったりする場合には、腰椎5個をどれもまんべんなく動かすように心掛けましょう。
▼ロールアップ:(ロールダウン時)腰椎を一つ一つ順番にマットに溶け込ませていくイメージで後転します。
▼ワンレッグサークル:脚を天井に持ち上げる(そして回す)際には、腰椎5個〜お尻にかけてをまんべんなく丸めます。
『腰椎の前湾』
腰椎は、立った時には前側に少し膨らんでいます。
いわゆる「猫背」であると重心が前方に移るため、正常な腰椎の前湾が崩れて直線的になります。(特に「腰椎の後湾」と言ったりする)
腰の筋肉で無理に支えて慢性腰痛になったり、太ももが太くなったり、太ももの裏がつっぱったりする症例も多いようです。
当たり前ですが、腹筋と背筋のコンビネーションで正しい位置に脊椎を維持することが重要です。
手で触れることができる腹部表層にある腹筋を「腹直筋(ふくちょくきん)」、
深層にある触れない内側の腹筋を「腹横筋(ふくおうきん)」と呼びます。
下っ腹に手を置いて咳をしてみると「腹横筋」の存在が分かります。
ちなみに、背筋の一部である「腰の筋肉」なのは、「腰腸肋筋(ようちょうろっきん)」と呼ばれています。
腰部筋肉(腰腸肋筋、腰椎に付着している筋肉)が保つ背骨の正しい位置としては、
骨盤が後方に傾いている(後傾の)時に、機能的には最も効率良く働きます。
骨盤後傾によって腰部筋肉が下方に引っ張られることで正しい姿勢が保つことが出来れば、
肋骨が上方に動き、胸部が高い位置で保持されます。そうすると腹筋によって骨盤が後傾されて安定し、
まっすぐな姿勢が保たれるという好循環が生まれます。
【ピラティスでは】
正しい姿勢で効果的に動かすためにも、腰に負担を掛けないためにも、
腰の下に手の平が入らないように丸めてマットに沈め(インプリンティング)、骨盤を後傾させた姿勢を維持。
腹横筋を使ってお腹を内側から引き締めて(スクープ)体を丸めます(Cカーブ)。
(おへそで体を「く」の字に折り曲げ(サッキング)てしまうのはNG。深く沈めて下から引き上げるイメージです)
▼ショルダーブリッジ:普段は腰の下に手の平1枚入る隙間がありますが、それを埋めるように骨盤を回し尻を上げる。
(なおショルダーブリッジの時は、首で体を支えてはいけません、必ず肩で体を支えて下さい。)
※執筆=ピラティス&ストレッチポールインストラクター・田中正之(転載不可) ※model=TOKU(ウエア=NIKE)
背骨(脊柱)は、頭部の重力ストレスを受け止めるためにS状にカーブしています。
腰部(胸椎から腰椎にかけて)は、「腰の下に手の平が一枚入る程度」カーブしています。
鼻から息を吸っておいて、下っ腹を使って口から息を吐きながら、
お尻の穴を少し上に向けるように骨盤を少し傾けて(後傾させて)、腰の下を埋めます。
(ワンポイント)
おへその穴にビー玉を転がしてカップインさせるようなイメージを持つと上手くいきます。
(さらに余裕があれば)
そのまま両脚を床に踏ん張って、お尻を少し浮かせることで腰を丸めてみましょう。
お尻を上げるというよりは、膝を天井に上げていく
(イメージだけで足は実際は床に付けたままです)
ことで腰を伸ばす、ような姿勢をイメージしましょう。